★ネタバレ★~「闇の子供たち」~「小説に
2010年2月18日□------------------------------------------□ http://bustup.e873.net/dt_shonan.html
★ネタバレ★~「闇の子供たち」~「小説にはないラスト・・」の段
原作を読んで、上映中の映画館を探して見に行った。
テーマも展開も重く、まあ、はっきり言って後味の悪い映画
当初は、単館系の上映であったけれど、どんどん拡大されていって
まだ、全国で公開されている模様。
そんなに、センセーショナルなテーマの映画である。
内容については、どこまでが実話で、どこまでがフィクションなのか
わからないけれど、とにかくひどい話し。
日本では格差、格差と言われても、少なくともほとんどの子供が
学校に行く事ができ、3食、食事ができる。
ネグレクトなどで、虐待を受けていたとしても、事実が発覚すれば、
福祉の手はさしのべられる。
江戸時代ではあるまいし、まず子供を売るなんて事はないだろう。
ところが、この小説の舞台となっているアジアの貧困地帯では、
ほんの少しのお金の為に、子供は、実の親によって売られていく。
行き着く先は、幼児性愛者向けの売春宿、そして、エイズに感染し、
用済みとなれば、生きたままゴミ袋に入れられ捨てられる。
また、中には、日本での臓器移植希望の子供に生きたまま臓器を
提供されてしまう子供もいる。
原作は、「血と骨」の作者である 梁石目(ヤン・ソギル)の小説
映画化され、話題作と言うことで読んでみたが、
前半は、読むに耐えないような幼児虐待の描写が延々と続く。
実際に世界のどこかでこのような非人道的な事が行われ、
また、その片棒を日本人が担いでいるというその事実を我々は
知らなくてはいけないし、問題意識を持たなくてはいけないと思う。
また、次代を担う未成年の子供たちにもこの事実を知っておいて
もらう必要があると思う。
ただ、この小説を子供に読ませようと思う大人はまずいないであろう。
それくらい、”ここまで書く必要があるのか・・”というようなエグい
描写が続く。
闇の臓器移植については、だいぶ前に、故野沢尚氏脚本のドラマ
『リミット』で田中美佐子が子供を誘拐しては、闇ルートで臓器売買
する悪女を演じていたが、その時もそのテーマの過激性で随分と
視聴者から反発があったようである。(そういや、今回のフリーカメラ
マン妻夫木くんは、『リミット』では、田中の片棒担ぐチンピラだった
んだ。彼も出世したな~)
映画の方は、さすがに小説ほどの陰惨さはないものの
それでも、かなりきわどいシーンが続く。
タイ人の子役には、撮影時に目かくしをして醜い大人の姿を
見せないようにしたと言うことであるが、それほど、ショッキングな
シーンが続く。
しかもこの件については、現地の警察も地元マフィアとの癒着もあり
ほとんど黙認状態。
そんな”悪”に対して、真っ正面から立ち向かう日本人のジャーナ
リストとボランティアの若い女性。
ジャーナリストは、”報道”によって、世界に事実を発信
する事によって、世論に訴え、組織そのものを壊滅させよう
と考える。
しかしボランティアの女性は、”目の前にいる”不幸な子供を
ひとりでも救済しようと、自らが火中に飛び込み手を差し伸べ
る。
結果、臓器移植の為に連れてこられた小さな少女を前にしても
ジャーナリストは、”報道”の為にその子を助けず写真を撮る事を
選択。
一方、ボランティアの女性は、自ら店の前に張り込んで、ゴミ収集車
を追いかけ、捨てられようとする一人の女の子を助ける。
この辺の価値観や立場の違いが、非常によく書かれている。
映画もここが山場
病院の裏口に車から降り立つ、数日後には殺される事がわかって
いる少女を矛盾を抱えながらも影から撮り続ける新聞記者と
カメラマン。そして、じっと遠くをみつめている少女の姿
圧巻のシーンである
そんな新聞記者を淡々と演じていた江口洋介も適役ながら、
毎度おなじみ、キャンキャンと相手に噛みついていく(失礼・・(^^;))、
正義感あふれる(=世間知らずな)ボランティアの女性は、
宮崎あおい本領発揮であった。
ラスト。小説では、結局は、我が身かわいさの保身に走る
日本人、そして、加害者である日本人への痛烈な批判で
終わっている。
小説の解説にも書いてあったが、これが、在日韓国人として
人には言えない苦労をしたであろう作者が一番言いたかった
事なのではないだろうか。
何とも後味の悪い最後であった。
一方、映画のラストは、原作と違い、売春宿が摘発され、少女達
が救い出される
でも、その後、とんでもない”オチ”が・・・・
この”オチ”については、賛否両論があるであろうが、
私は、この原作にない”オチ”のせいで、せっかくの社会派ドラマ
が通俗的なサスペンスドラマのようになり、テーマそのものが
ぼやけてしまった事が非常に残念だと思った。
原作と映画のラストを変える
いつも思うのだけど、おもしろくさせようとして、かえって、
つまらなくさせていると思うのだけどどうなんだろう・・。
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シーンがあり、遙かに救いがあった。
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